薬王堂気まぐれ通信使№821   2021-2-28
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

2月28日、日曜日、広島自然観察会の月例会に参加してきました。
場所は広島市安佐北区にある小河内〔おがうち〕という集落です。


太田川にはかつて可部線という鉄道が走り川傍には小河内駅がありましたが廃駅となり広場だけが残ります。
その場所から曲がりくなった小川を約5キロ遡上した場所に小河内はあります。
今日は小河内の自然を観察することにしました。
午前10時10分、現地で集合しました。
近くの草原で確認できる草花を見つけます。
ホトケノザ・オオバコ・ツメクサ・チチコグサ・ジャノヒゲ・スイバ・ギシギシ・スミレ・スズメノカタビラ・オオイヌノフグリ・オランダミミナグサ・ハコベ・シロバナタンポポ・カキドオシ・スイセン・ヨモギ・・・・
約30種類の草花を見つけます。
倒木にシイタケが出ています。
足元に土をかき分けた筋が見えます。
指導者の方からこれはヒミズという動物がつけたトンネルだと教えてもらいます。
ヒミズとは日を見ることのない動物という意味で、モグラほどの深い穴を掘らず地表近くのミミズや昆虫を捕食して生活していると言います。
傍には清流が流れ淵にはオオサンショウウオが生息しています。
小河内には養山八幡神社があり社叢にツクバネガシの大木があることで知られています。
その他にもヤブツバキやモミ(葉先)・カヤ・ウラジロガシ・ユズリハなどの古木がありこのあたりの昔の森の様子を残しています。


中央が養山八幡神社の社叢・左の山頂に牛頭山から山城が移築されたと言い伝えられています。女郎谷などの旧地名が残っているとか・・


近くを歩いてみました。


ヒメオドリコソウ


ヤブカンゾウ
ジャノヒゲ
シキミ
ヒガンバナ
オカメザサ
オクマワラビ

クサソテツ (こごみ)
ネムノキ
・・・
などが見られます。

畑の傍にノビルがありました。
ノビルとは野の蒜(ひる=にんにく)という意味でを軽く湯がいて味噌につけて食べると美味しくいただけます。
若い時には精力がつくので仏門では禁食ともされています。
食べてみようかと思いましたが今更と思い断念しました。

養山神社ご挨拶をします。

養山神社

平成の台風でツクバネガシの古木は倒れたらしいですが数百年のものは数本残っていました。
枝の先葉が正月の羽子板に使うつくばね(突羽)に似ていることからツクバネガシとなったようです。
葉先だけに鋸歯があり太陽に向けると葉の縁が白く透けて見えます。
戦国の時代、養山神社の社は牛頭山(うしずやま)の麓にあったものが山城の移転と供に小河内に移されたものだと言われています。
戦乱当時の名残としてヤダケ(矢竹)が茂り、実種から油をしぼって弓のしなりに利用したと言われるヤブツバキの大樹がありました。
小河内集落では養山八幡のお神輿を広島で購入し太田川を舟で運んで持ってきた経緯を伝承する為に11月に行われる祭りに取り入れ残してきたそうです。
11月の第一日曜日には地区総勢で盛大にお祭りが催されます。
三台のお神輿を繰り出す祭りは広島市の重要文化財に指定されています。
帰路、辺りを気にしながらフキノトウを採り蕾のユキワリイチゲホソバナコバイモの花を見て満足します。
川下の宇賀地区で梅を愛でオウレンヤマアイの花を見ながら帰りました。


梅の咲く太田川中流域

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